管理者にとって部下育成は永遠のテーマです。
言うことを聞かない部下、指示したことができない部下、反応しない部下、学習しない部下、メンタルヘルスや発達障害など、最近では問題がさらに増えました。
もし、あなたが上司や先輩となったときにどのように育成したらいいだろうか。
今回は、部下の特徴をタイプ別に理解し、それぞれの対応を考えていきたい。
言うことを聞かない部下は「我が強い」。
主張が強く、自分が全て正しいと思っている。
プライドが高く、人の意見よりも自分を優先する。
成功、失敗、どちらになりそうか上司として意見をはっきり伝えることが必要。
自由にやらせてみる。
アドバイスの際は答えを教えるのではなく、相談すべき相手を教える。
そして、成功は褒め、失敗は理由を報告させる。報告はうやむやにさせてはいけない。
なお、Yes、But法はこのタイプには逆効果となる。
頑固な部下は「口頭による指示が苦手」。
プライドというよりも、自分の知っている範囲のものが全てという一本木なタイプ。
融通が利かない。
コミュニケーションが苦手というわけではなく、口頭による指示だけが苦手。
このタイプは文章で伝える方法に変えると理解ができます。説明は紙かPDFで渡し、口頭での説明も加えるようにしてください。図は少なめのほうがよいでしょう。しかし、大事なもはメールやSNSで伝えることは避けたほうが良いでしょう。
言われたことしかできない部下が問題となっている。
「考える立場」ではないことが大きな要因となる。
難易度の高い仕事を何も教えずに部下に振る。
やらせてみて、振り返るプロセスを習慣化する。
上司は間違ったところのフォローとアドバイスに徹する。
主体的にならざるを得ない。
納期を守らない部下は「段取り不足」が原因。
納期を逆算する能力が欠けており、前倒しで仕事をしかけていく概念もない。
納期までの段取りの方法とスケジュールを自分で作らせる。
毎朝、当日の目標点を確認する。
必ず一つはクリアできるように動機付けする。
多少の遊び(余裕)は持たせるようにする。
指示された内容が「理解できていない」可能性がある。
主体性のない部下と行動は似ているが、目的を達成できないところが異なる。
その仕事が完了した状態はどうなっているか尋ねる。
答えられなければ、その仕事はできない。
また、わからなくなってしまった場合はどうするかも聞く。
この2点を確認することでたいていの仕事は対応できる。
できない場合はメンタルなど他の要因が考えられる。
これといって特徴がなく、つかみどころのないタイプ。
特徴となる「軸がない」。
質問してもあやふやな答えしか返ってこない。
隠すつもりもなく、それが普通の状態。
成功したパターンを1つ覚えると、全てそのパターンですべてを解決しようとする。
気を遣ってコミュニケーションを取っても肩透かしな反応しかないことも多い。
難易度の高い仕事を与え、成功のパターンを自分で組み上げさせる。
それを繰り返すことにより成功のパターンが増え、どんな場面でも適応する力が身に付く。
パターンが増えるにつれて軸が生まれてくる。
がんばりすぎて「からまわり」してしまうタイプ。
がんばりは悪くはないのが、求めているものと違う結果をもたらすことがある。
その仕事が完成した時のイメージを伝え、自分の言葉で言わせる。
言えない場合は、その状態をイメージしていない。
イメージさせるために必要な要素を確認させる。
要素が見えれば求めている方向に向かう。
常に誰かに相手してもらいたい欲求が高い「かまってちゃん」タイプ。
話好きな人のところに近寄っていく。
人から褒められたいので仕事はしっかりやるが、上司にとっては面倒臭い相手となる。
甘えるなと笑顔で言えば、かまってもらえたと感じて満足する。
話を止めたい時は飴などのお菓子をあげることも効果がある。
食べることに夢中になって、それまでの話がどうでもよくなる。
元々、生命力やパワーというようなエネルギッシュな面がないタイプ。
一言で言うと「覇気がない」。
ただ、その人にとってはそれがとても普通な状態であるため、元気出せというような指導はNGとなる。
同じことをやり続けることが得意な面がある。
毎朝、必ず売上、注文数、メールエラーを確認させるなど、勢いで動くメンバーのサポートに向いている。
判断する仕事は難しいことがある。
データサイエンティストなども向いている。
常に何かに怯えているような素振りを見せる。
大きな物音や強面の相手にもびくびくする。
ちょっとした一言でショックを受けてしまう。
セーフティな職場であることを伝え、常に笑顔で接する。
決して怒ってはいけない。
全てプラスの言葉に変換させるよう指導する。
マイナスな言葉を発したときだけ、ネガティブな言葉を発したことについて叱るようする。
メンタルが不調になる原因は職場よりも「プライベート」に大きなウェイトがある。
次いで仕事についていけず自分を責めてしまう「能力不足」の場合が多い。
その能力不足への指導が「ハラスメント」に変化してしまうことがある。
また「残業時間」の長さが原因となって発生することがある。
プライベートの問題は職場では解決できない。
職場の場合は突き詰めると仕事の不効率が原因となっている。
時間管理のテクニック、思考のトレーニング、加えてコミュニケーションをトレーニングすると効果がメキメキと出る。
直接指導するよりも、公開セミナーに参加させるほうが良い。
仕事がテキパキとできるようになると精神状態は大きく変わる。
仕事へのやりがいがプライベートの問題も和らげてくれる。
発達障害の特徴は「言われたことができない」。
昔は上司や先輩に怒鳴られ、パワハラも受けつつ仕事を覚えた。
よくもわるくもそのような行動は矯正されて治っていた。
今は病気として正しく認識される時代となった。
この場合も指示書を渡すとその通りにできる。口頭はNG。
しかし、上司はいちいち指示書を作っていられない。
本人に指示書と同じものを作らせる。
メモを取らせ、まとめたものを報告させる。
手間はかかるがこのステップが重要となる。
次に項目ごとに納期を設定させる。
これも一旦まとめさせ、確認する。
毎朝、進捗を書面で提出させる。
自分で段取りし、自分で確認する習慣を身に付けさせる。
早ければ3ヶ月で効果が出る。
様々な問題はあるが解決できないことはない。育成にはコツがある。部下の様子をよく確認して対処していってほしい。
職場で1日中ずっと誰かに話しかけている部下がいる。
周りの仕事を止めてしまうので迷惑となる。
話すことが「生きる宿命」のようなもののため基本的には治らない。
注意してもすぐに忘れる。
上司がいないときはおしゃべりし放題。
これは生まれながらのものなので対処はできない。
話をよく聞く、叱る、対応方法を一緒に考える、顧客の思いを伝える、組織の存在意義を伝える、周りへの配慮、エモーショナルな接し方、工夫を繰り返して言い続けても3分後に忘れている。指導する方が悲しくなる。
商店街の接客業には向いているが、企業向きではない。本人がそれに気づくのを待つしかない。
基本的には学習熱心なタイプ。
しかし、実践がともなっていない。
「知識を見せたい」「優秀に見られたい」ことが優先する。
現場との微調整が上手くいかないことが目立つ。
屁理屈や理論に傾注するタイプは、話しているうちに論点がずれていく。
激高するか泣き出すか、とにかく自分の考えを曲げられることを嫌う。
これも治る類のものではない。
対処法としては、「論点」ずれたらそこを指摘して話を戻す。なぜかこれには反論が出ない。
しかし、「論理」が違うことを指摘すると怒り出す。
このタイプも企業には向かない。アナリストやデイトレーダーなどが向いている。
情報の優先順位がつけられない。
「全て大事」だと思っているタイプ。
資料を作らせれば全ての情報や理由を入れようとする。
説明にまとまりがなく、くどくなる。
フォーマットを用意して、必要以上に文字数を増やさないように説明しても、補足資料を5ページに渡って用意することがざら。
会議で意見を求めれば10分以上話し続けることもよくある。
自分の話を割って入らせない技術を自然に持ち合わせている。
会議では何がなんでも割って入るよう心構えをしておかなければならない。
また、仕事の依頼は大掛かりな修正を入れることを前提にする必要がある。
寝る時間が遅いため朝は早く起きられない。
個人の行動の自由があるため指導しにくい。
早く寝ろと言っても、こういうタイプはストレス解消のため夜中まで遊んでしまうことがある。
目覚ましを3個以上用意してもあまり効果は出ない。
ストレスの原因が上司にある可能性が高く、解決は難しい。
細かいことを言うのを止め、本人の技量に任せてみることが唯一改善できる可能性が残っている。
やりがいが生まれれば仕事への姿勢も変わるかもしれない。
元々、組織という枠組みに合わない「自由に生きたい」タイプ。
お金をもらいたいだけで会社に入ったのだろう。
本当にやりたいことは何かを聞く。
会社とは別の生き方を自分で気づいてもらうように話す。
決してこちらから別の道を促してはいけない。
どんなに困った部下も上司が本気で熱意を持って接していればいつかは変わる。
部下が有意義な人生を送ることができるように「生き方」を示していくことが人生の先輩としての役割には違いない。
お手上げな面はあるが、自分の部下でいる間は粘り強く接していってほしい。
AI、IoT、5G、テレワークなど高速通信網がさらに加速し、どこでも、誰とでも仕事ができるようになった。もうすぐ人間はAIにはかなわない時代が来る。それをただ眺めているわけにもいかない。人間もバージョンアップすべきだと考える。その方向性は「思考の高速化」と「概念設計能力の強化」の2つとなる。思考を鍛える方法は様々なものがあるが、高速化という観点からもキーワードで思考する方法が有用となる。少ない文字量で多くの情報を伝達。脳のシナプスも光ファイバーと同様に扱える情報量は限られてる。効率的に情報を伝えることによって、考える時間と考える量を増やす。これによって脳の高速化が図られる。
また、考えたものを概念にまとめる力が身に付けば付加価値の高い商品やサービスを生み出せる。高速化された脳を使って新しい概念を連続的に生み出していくことも可能だろう。
まだまだ人間は成長していけるだろう。
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