企業が活動する中で必ず2つの大きな問題に直面する。
ひとつは儲ける知識、もうひとつは結論の導き方。
日本企業は内部留保を溜め込み、何があってもいいように努力している。
しかし、今回のコロナ禍で明暗がわかれた。
時代を読み、投資を続けていた企業は売上を伸ばした。
一方で既存の製品にどっぷり依存していた企業は売上が蒸発した。
違いは経営に対する考え方だけだった。
日本企業は保守的なため、会社が潰れないように内部留保を溜め込む。
一方で開発や研究にはほとんど費用を使わない。
たまに思いつきで新規事業を始めて失敗する。
ところが社員からの提案に経営者は難色を示す。
何人もの経営者にインタビューしてわかったことがある。
声には出さないが、自分よりも優秀なプランを出されると立場がなくなると顔に書いてある。
優秀な経営者ならば部下のアイデアは取り込むものなのだが、自らビジネスモデルを成功させた経験がないからこうなる。
成功したことがない、立場が大事、失敗したくないという3大願望が企業の成長を止めている。
不景気になるとここぞとばかりにサラリーマン経営者の弊害が露呈する。
守りの姿勢。
稼いだ範囲の中でなんとかやりくりしたい意識が強い。
それではいつまで経っても成長へのグリップをしかけられない。
成長しないということは守れないということになる。
競合は常に投資をしていることに気づいていない。
儲けるためには時代の先を読み、社会に役立つことを見つける。
先手を打って投資することが必要となる。
競合が出ないうちにシェアを取り、仕組み化していく。
世間が知るころにはブランドが出来上がっている。
儲けるということは誰よりも早く社会の役に立つということになる。
経営層は決断が遅いとよく言われる。
新聞は読むものの、ITにとにかく弱い。
昔に得た知識の中で立場を死守したい。
合意制でありながら意見をまとめるだけの作業としての会議。
売上に繋がる結論は出るわけがない。
経営者の立場から見れば、お金を出すのは自分なのだから、自分の考えの範囲でやってほしい。
これは納得がいく。
ところが不思議なことに、お金を出すのだから「儲けよう」という人が非常に少ない。
サラリーマン経営者は一様に「社員の生活を守る」と言う。
そして不況になると必ずリストラする。
儲けを出さなければ守るどころではない。
しかし、儲ける方法を知らない。
ビジネスモデルは大きく変わった。
ITを中心にした知識がなければ情報を理解できない。
知恵を使える人が驚くほど少なく、安定した収入が考える力を奪っている。
情報の認識し、整理して結果を予測する。わかっているが未知の情報ほど理解をあきらめる。
1つの結論にこだわり、予測を分岐させることができない。
ほとんどのことは想定外の結果を導く。分岐できないため対処もできない。
ITの技術は専属で学ばないと難しいが、スマートフォンに触れていれば日常生活のスタンダードがどのように変わたのかを知ることができる。日常のデファクトスタンダードはビジネスのヒントとなる。
情報を扱うスキルとしては、ロジカルシンキングを学ぶことが近道となる。背景にある理を見極める力が養われる。
予測を分岐する力は、日本の武将の戦術を学ぶことが一つの助けとなる。戦略には必ずバリエーションがある。
そして、必ず現場を見る。報告を受けただけで判断した結果はほぼ外す。重要なものほど直接現場を見なければならない。
経営はアートだ。
普通に考えたら何もないところから売上を得られない。
人や材料、時間を使って商品と仕組みを組み上げていく。
気づいたら何かができている。
もっとよくしようと考える。
何ひとつ同じものはない。経営とは奇跡の産物なのだろう。
前人の知識、知識に裏付けされた直感、データからの知見。
これを使って奇跡を量産しようとする。
磨けば磨くほどセンスが開花する。
直感は感覚的なものではない。
経験則、知識の蓄積から、何かを学習し、そこに当てはまったときに感じるもの。
データベースが外部の情報とつながったことを意識化できていない状態。
直感が当たる理由は、この経験則や知識を元にしていることが理由。
過去に経験のないこと、知識がないことに対して、それを当てはめて判断した場合に外れる。
知識、経験のから裏付けを意識することによって直観力は高まる。
発見とは、見たもの、学んだものから「法則に気づく」ということ。
ひらめきは、ある日突然起こる。起こそうと思っても起きない。
ひらめきとは、発見により気づいた法則を「他の用途に転用」できることに気づいたということ。
過去の経験が多ければその確率が高くなる。
ネットで情報が大量に収集できる時代。
人が扱える量を軽く超えている。
量の多さは判断する力を阻害する。
キーワードで考えることによって情報量を圧縮することができる。
複雑な問題も単純化され、本質が見えるようになる。
大量の情報が扱えるようになると、知識や知恵の習得、法則を発見できる量が増える。
思考のスピードが上がり、ひらめくチャンスが広がる。
新しい時代を乗り越えるためにも、経営の根幹である「儲ける」という本当の意味を知るということが極めて重要となる。それを実現させるために「結論」を導く能力を得なければならない。キーワードで情報をシンプルに考え、直感やひらめきのセンスを鍛えることが近道となる。