脳の仕組みを知り
考える力を鍛える
考える能力を引き上げるには「脳」の仕組みを理解することが近道となる。
これはPCに置き換えるとイメージしやすい。
CPUは論理的思考やフレームワークなどの思考方法に位置づけされる。処理速度や高度な計算に影響を与えている。
HDやSSDは記憶というデータベースと同じ働きをする。必要な情報が蓄積されていく。
ノードネットワークは検索エンジンに似た機能を持つ。キーワード、フレームワーク、データベースを繋げる。
脳の仕組みをイメージし、情報の流れを意識することによって、今自分が何に基づいて情報を処理しているのかを把握できるようになる。
脳のなかの情報の流れを知ることは、自分の思考のクセに合わせた効率的なトレーニングを行うことが可能となる。
思考方法のトレーニング
論理的思考やフレームワークはトレーニングすれば考えるフレームワークが身につく。
3種類ほど学べば、ほとんどの場面に対応できるようなる。
ロジカルシンキングやマインドマップ、最近ではデザイン思考などいろいろある。
ロジカルシンキング、インバスケット、事業戦略のフレームワークの習得を勧めたい。
ついでに周辺知識として財務も学ぶと良い。
マーケティングは実践のなかで他社を比較しながら学ぶほうが有意義となる。
複数のフレームワークを身に着けることによって、処理速度の向上や高度な思考が可能となる。
記憶力の効率的な向上
記憶力を高めるには「話す・書く・まとめる」という方法がよい。
スタンダードな方法だが、これに勝るものはない。
日々の仕事の中で、メモを取り、まとめ、説明する。
意識してこの量を増やすだけで効率的に記憶力は高まる。
また、必要性のない情報は短期記憶と呼ばれるようにすぐに忘れる。
反対に生命の危機に関する情報は記憶しやすくなってる。
記憶のメカニズムを覚えておくことがメモの意識を高めてくれる。
ノードネットワークを鍛える
脳にはニューロンと呼ばれる神経細胞があり、シナプスと呼ばれる出入力部で信号の受け渡しが行われている。この回路網をモデル化したものをノードと呼んでいる。このノードが頭のなかに100億以上あり、つながってる。このネットワークを通じて言葉や感情、経験が情報として伝わる。
職場でLANケーブルがたくさん刺さった箱(ハブ)を見たことがあると思う。PCも含めた全体を回路としてイメージしてみてほしい。ほぼ同じような働きをしている。
LANとの違いは、使えば使うほど、処理できる量、ネットワークの広がりが増えるというところにある。脳は成長し続ける器官となっている。
インターネットで調べ尽くす、本の虫となる。大量の情報に自らを置いて、脳をどんどん使っていく。仕事のなかで向上できる。
例えば商品について比較分析する。上位3社までだったものを10社まで広げてみる。これまでと異なる視点を発見できることだろう。
脳が行う「考える」という処理
脳が行う考えるという定義
考えるということを大きくわけると3つある。
言葉で思考する
感覚的に感じる
過去の経験・事例から探す
右脳、左脳という機能による分け方もある。
言葉については文字通り「言語」で考えるものと、「数字・数式」で考えるものがある。
感覚についてはイメージのように頭のなかでの「描写」するもの、それから視覚、音、味、感触、臭いの「五感」、そこから感じる「雰囲気」「感情」などがある。
過去の経験については、「データベースの蓄積」と「条件反射の定着」ということになる。
そのため「考える」とは少し位置付けが異なり、記憶というほうが適切だろう。
脳の記憶の処理
人間の脳は「言語」「感覚」「経験」を個々に記憶する。
最初から連動させて記憶しているわけではない。
言葉と行動が伴わない理由はここにある。
子供に「やけどするからさわっちゃだめだよ」と言っても、子供は熱い鍋をさわる。
やけどという言葉と熱いという感覚が「セットで蓄積」されていないことが理由。
やけどする体験を経て、初めて熱さという情報が言葉と繋がり、さわってはいけないという知識を得る。
生存に関するものほど連動して蓄積しやすく、この連動が弱いと同じことを繰り返す。
言葉というラベルがつけられた感覚や経験・事例が増えることによって、思考や行動がコントロールできるようになっていく。
脳の情報の流れ方
ノードネットワークの中で信号が流れやすい方向、流れにくい方向がある。
これは遺伝的な要因や蓄積された知識などによって影響を受ける。
何度言われても同じ忘れ物を繰り返す理由はここにある。
「忘れ物をしないようにする」といことに信号が流れていない。
習慣化することによってある程度は対処できるが、何百回繰り返しても改善されなければ脳がそれに対処できる構造となっていないと考えたほうがいい。
構造的な問題のため変えることは非常に困難となる。
ただ、仕事ではそのままだと問題となるためチェックリストを活用するなど別の方法で対処する。
これをノードネットワークの観点で見てみると、元の構造を修正するのではなく、別の回路を作って、違う行動で対応するということになる。
簡単に言うと、何度繰り返してもできないことは、直接的な対応をやめ、他の方法でカバーできないかを検討すべきである。
たったこれだけだが知らなければ対処できないまま無駄な努力をしてしまう。
脳の感情の処理
感情は動物的な本能と日常生活上の周囲の真似の反復によって身につく。
もし、赤ん坊が大人になるまで1人だけしかいない部屋で育てたとする。
言葉はしゃべれず、笑顔、泣くなどの感情表現を持たない動物として成長してしまうだろう。
親、兄弟の言葉、表情、接し方を繰り返し、真似ることによって、うれしさ、かなしさ、心の動きが脳のなかに蓄積されていく。
蓄積量と伝達量によってノードネットワークが強化され、豊かな感情を持った人へとなっていく。
最近では子供が乳幼児のときから共働きが増え、子供と接する時間が極端に減っている。
極端に無機質で無感情な人が増えていくことになることが危惧される。
また、知識を得て、感情をフレームワークで処理するようになると、本能的な対処から、理性というフィルターをかけた処理に行動が変化する。
若いうちからフィルターをかける処理を反復することによって、社会的に好ましいとされる成長が見込まれる。
ただし、人間には本能や元々の身体的な能力に限界があるため、脳が処理できない事象、どうしても行動に移せないものが存在する。
社会的な望ましさを押し付けすぎると、これに当たったときに望まない行動やメンタルダウンを引き起こす。
考える能力の望ましい姿
まだ正解はない
残念ながら今はまだ正解がない。
正解を示せたとしてもそれは実現不可能なものだろう。
人間の脳の処理能力を超えてしまうからだ。
言語、数学、歴史などあらゆる知識を習得し、異なる価値観や人間の考えを全て理解できればその入り口に立つことはできるかもしれない。
CPUやメモリなどの電子デバイスを脳に埋め込み、情報伝達の高速化と記憶領域の拡張ができれば可能かもしれないがずっと先の話となる。
最後に
今後10年を考えると、心の健康の問題、AIなどのテクノロジーに対応する問題、労働に関する問題、外交の問題、食糧の問題が特に人間の思考に影響力を持つと予測される。人間としての本能とバランスを取りながら、知性を高めていくことが求められていく。
学校の教育も記憶から自発的な行動に変わりつつある。自分で考えるという方向にようやく進み始めた。その時に何を軸にして考えるべきかという問題が発生する。この10年でこの軸を形作っていくことになる。そのためにも倫理観を教えていくことがより重要となっていく。
現在、テレビや新聞などのマスメディア、ネットニュース、動画サービスからたくさんの情報を得ることができる。消費者が情報を選択できる時代となった。しかし、どれも主張が偏っているということに気を付けなければならない。ものをどう見るかによって正解は変わる。
知識と知恵。先人たちの残してくれた財産をたくさん学び、考え続けることが必要となる。そのためにも考える力を鍛えなければならない。
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