キーワードで脳を高速化し、判断力を鍛える!

論理的思考が日本で注目されるようになってから20年近くが経過しました。地頭の良さや考える力を鍛えるために様々なフレームが生み出されてきています。同時にインターネットが普及し、ありとあらゆるジャンルの情報が発信されるようになりました。知りたいことがいつでもすぐに調べられるようになったのは産業革命の恩恵です。

実際に調べ物をするときには、同じような内容でも、それぞれの情報を比較しながら共通点を探し出して結論を導き出す、というようなプロセスを辿るかと思います。情報量が多ければ、その精度が高くなる可能性があります。ところが情報量が増えるにつれ、思考のフレームを使っても答えを導き出すことが難しくなってきています。量を処理するだけでも大変なうえに、正しい情報と微妙な情報が入り混じり、普通の方法では対処できなくなりつつあります。テキストマイニングやAIを利用すればよいという声もありますが、分析を自動化したとしても、結局はその大量の情報を見ながら人間が判断することになります。

ではどうしたらいいでしょうか。身近なPCに置き換えて考えてみましょう。大量の情報を高速な処理をするためにできることは次の通りです。

・CPUの速度を上げる。

・ドライブの速度を上げる。

・ユーザービリティのよいソフトウェアを使う。

・データベースの精度を上げる。

・高速なインターフェィスや通信を使う。

このようなことが必要になります。人間に当てはめてみると、CPUとドライブが脳、ユーザビリティは五感、データベースは知識、インターフェースは入力作業ということになるのではないでしょうか。この中で脳、知識は限界なく鍛えられそうです。入力作業や五感はすぐに限界に到達するでしょう。脳の処理速度を上げ、同時に知識量を増やすということになります。脳の高速化が起きれば、大量の情報を扱うことができます。また、知識量が増えれば判断する基準に多数のバリエーションが生まれ、状況に応じた判断ができるようになります。今回はこの脳の高速化と判断力の向上をテーマに考えていきたいと思います。



脳の高速化と判断力向上に向けて

 

(1)キーワード化により情報量を圧縮する。

データベースをゼロから作ったことがある人はわかると思いますが、1万アイテム以上のリスト作成は絶句の一言です。5,000ぐらいならなんとかなりますが、万単位になると表計算ソフトを使っても頭が混乱します。人力では無理ですね。AIを使ってラベリングする方法もありますが、ルールを決めるのは人間です。やはり全てのアイテムに目を通さなければいけなくなるでしょう。特に書籍のようにタイトルが文章になっているものは人泣かせです。500を超えたあたりからもうろうとし始め、1,000を超えたらどうでもよくなります。

このような大量の情報、さらに文章のように表現が統一されていないものが混ざったものについてどのようにデータベースを作成すれば効率的になるでしょうか。カテゴリーわけやラベリング、要約といった方法が思いつくでしょう。カテゴリーわけはデータベースとしては必須ですが内容まではわかりません。別に情報を確認することになります。では要約はどうでしょうか。200字ぐらいにまとめても、それでも情報としては長いと思います。

そこでキーワードを使って内容まで連想できるような言葉を付与して整理する考え方を用います。「名は体を表す」ということを意識します。よく使う「一言で言うと何?」ということと同じです。キーワードは誰でもわかる標準的な言葉を使うと良いでしょう。スマートな表現が理解にも、処理にもスピードの点で優位です。カテゴリーわけやラベリングと異なる点は「内容もわかる」という点です。例えば「家電」というとカテゴリーですが、「乾燥機能付き洗濯機」とすれば中身もわかるキーワードとなります。何も処理しない状態だと「◯◯製◯◯シリーズ洗濯機 乾燥&除菌 □□□□ KWD−11T」のように長ったらしいままになりかねません。例えば特徴の異なる100種類の洗濯機があったとしても、キーワードに情報を圧縮することで、100種類の洗濯機の特徴を一目で分別できるようにもなります。

「メモはキーワード」で取るとよく言われますが、その情報を使ってさらにキーワードで本質の部分をメモに書き出していくということをします。最初から厳密に行うと難易度は高くなりますので、カテゴリーにまとめて一つの答えに収斂させていく方法でもかまいません。

ビジネスの場面では商談や会議で特に効果が現れます。ニーズの定まっていない顧客の言葉をメモに取り、キーワード化してまとめていきます。会議でも話が長い人の意見をキーワードで捉えるようにします。話がまとまっていない人の話や複雑な話もキーワードで要点をまとめていくと、情報がわかりやすく収斂されていきます。

優れた記者とそうでない記者の違いを比べてみるとよくわかります。優れた記者はインタビューした相手の言わんとしているところを汲み取って言葉にします。そうでない記者はインタービューで出た言葉をそのまま並べます。これは大きな違いです。

キーワードでとらえていくことに慣れると3つ、4つの言葉で相手の言いたいことがわかるようになります。文章も同様です、キーワードでとらえるようになると次の内容が予測できるようになります。

これは何が起きているかというと、キーワードでデータベースを意識的に脳の中に作っていくことを表しています。人間は日常でも意識せずにパターン学習をしています。意識しない場合、入ってくる情報は都合のいいところだけ切り取ります。ところが意識してキーワードで情報を脳にストックしていくと、言葉と行動がセットでデータベース化され通常の予測よりも早く結論に到達します。人工知能の機械学習に似ていますね。

ただし、これはビジネスシーンについてのみ有効だと考えています。プライベートについてはバリエーションが多すぎで出来事が一つ一つ未知のものとなるためです。ビジネスであればパターンの数が限定的に収まります。

 

(2)判断力を強化する

キーワードによって頭の中に高速なデータベースができれば、他の人より大量の情報が扱えます。知識量も自然に増えるでしょうし、学習によってさらにストックされていくでしょう。と言っても丸暗記では対応力は高まりません。優れた先人たちの知恵を学び、自分なりに解釈して習得することが必要です。その際にやはりキーワードでまとめること、それから、過去に学んだことを結び付けて考えることが重要です。

また、実体験について過去の行動をキーワードで記憶に留めておくことによって、次に起こるアクションに対してのバリエーションを増やすことが可能です。「あの時ああだったから今回もこうだろう」と考えることは多いと思います。しかし、結果は違うこともあるでしょう。結果と条件をセットでキーワード化しなければいけません。条件がインプットされていれば、同じようなことが起きたときに条件も脳内のデータベースを参照できるため正しい判断に繋がります。条件もキーワード化しておくことでデータベースのストックも量が増えていきます。

MBAなどでケース学習をとにかく詰め込むのはこれに近いことを狙ってのことでしょう。企業のあらゆる事例を頭の中に入れて対応を考えていくというところです。ところがケースに頼りすぎると未知の事象に対応できない可能性が高まります。未知への対応はキーワードのほうが有利となります。シンプルなキーワードで情報をストックすることによって、他の情報と連結しやすくなるためです。そのために何よりも重要なことがあります。原理原則の知識をデータベースとして頭の中に叩き込むことです。内容はとてもシンプルです。例えば「水は高いところから低いところに流れる」というようなものです。当たり前ですよね。この当たり前をどれだけデータとして頭の中にストックしておけるかということです。最近ですと「5Gは高速」という具合です。5Gがわからない人という人はそこでつまづき判断ができなくなります。繰り返しになりますが、当たり前のことをキーワードでストックし続けることがいかに重要かお気づきいただければと思います。

 

まとめ

人間の脳はさらに進化します。高速化の概念は知るだけで加速させることができます。判断力も同様です。今回の記事を読むだけで既にスピードアップしたのではないでしょうか。今までそんな概念はありませんでしたので、意識していなかったと思います。スタート地点がゼロのため意識した瞬間からプラスに作用します。自分の脳がどれだけ早くものごとを処理できるか試してみる面白いでしょう。早押しクイズも似たようなものかもしれませんね。高速化と原理原則を意識しながら答えてみると違う世界が見えるかも。ぜひやってみてください。