DX時代に求められる能力とは?「創造力」という「考える能力」が新しい社会を構築する。

これほどまでにビジネスにスピードと変革が求められる時代があったでしょうか。コロナ禍をきっかけに社会は大きく変化しようとしています。しかし、8割の企業は変化に対応しきれず、淘汰されるか、一番後ろをなんとかついていくのがやっとでしょう。

この先何をすべきか考え続けなければ答えは見えません。ではどうやって考えたらいいのでしょうか。キーワード学では「キーワードでシンプルに考え、つなげる」という思考方法を提唱しています。その向かうべき先は「言葉であらゆる問題を解決し、新しい価値を生み出す」ことを促進します。時代の変化と生き残っていくための力を考察しながら、このDX時代に何をすべきか一緒に考えていきましょう。

 

1.時代の変化とこれから

1995年ごろ、日本でもインターネットが普及し「検索の時代」が開幕しました。当初は情報の発信が主体でしたが、蓄積されたデータが分析に活用されるようになると、行動データの販売や広告配信へ応用されるようになりました。携帯電話やスマートフォンの登場によって、データの価値がさらに押し上げられていきます。

その後、第三次AIブームとIoTの実用化が進み、画像や音声、観測結果のリアルタイムなデータ化や予測シミュレーション、それらを活かした業務の自動化へと発展してきています。これまで以上に「情報を中心とした技術競争の時代」へと突入したことが伺えます。

そしてコロナ禍をきっかけに「リモートビジネス」への転換が始まりました。生活とビジネス様式が否応なく変わります。DX(デジタルトランスフォーメーション)という概念が具体化される時代に入ったことを示しています。残念なことにこのDXが実現した状態を予測できる人が少ないため、市場は混乱が続くと推測されます。

(1)今後10年を予測する

5GやAIなど個別の技術は予測できますが、社会全体がどうなるかについて提言する方は少ないようなので、ここでは今後10年間の方向性を予測したいと考えます。

ネットワークの高速化と発達は、場所や空間を選ばない「仮想空間」の構築を促進します。AIやIoT、ロボットによってプログラムが全てを代行する「全自動化」が順番に配備されます。この自由なネットワークと仕組みの発達が、組織を離脱し個人で仕事を完遂する「ビジネスプロフェッショナル」を生み出します。もっと簡単に表現するならば、「空間超越」と「自動化」を「個人レベル」で可能な社会へと変わっていくということです。正しい判断をするためにも、この将来の姿をしっかりと認識しなければなりません。

(2)経営者の本音

これまでの方法が通じないということはありませんが、古いやり方にこだわれば「縮小」か「撤退」という未来が待っています。どちらがいいというものではありません。これは「選択」です。新しい選択には費用がかかります。投資しても必ずリターンがあるとは限りません。ただ、何もしなければ確実に縮小です。難しい選択です。生き残るためには先に進むという選択しかありません。しかしながら、残念なことに現在の日本企業の経営者の多くは「今のままで自分が引退するまでなんとかもたせたい。」というのが本音でしょう。

(3)組織のあり方が変化する

この変化は組織のなかで仕事をしていくか、個人で仕事をしていくか、ひとりひとりに問いかけています。大きな仕事をするためには組織化が必要です。つい2〜3年前までは、組織=会社でした。ところがネットサービスの発達により、個人でもチームを組織化できるようになりました。会社がなくても大きな仕事ができるようになったのです。一度も会ったことがない人達とも普通にチームを組み、目標を達成していく。信じられないかもしれませんがもうすぐ当たり前となります。AIの発達速度が速ければ、チームすら必要なくなるかもしれません。「ノンコミュニケーション」の時代が来る可能性もあります。

 

組織を選ぶにしても、個人で働くにしても、生き残っていく力が必要です。ある意味その力があればどちらを選択しても問題がないのかもしれません。続いてビジネスのなかで生き残っていく力を考えていきたいと思います。

 

2.クリエイティブ能力と投入コスト

AIやRPAの導入により単純作業は自動化が進みました。画像処理はもうすでに人間を超えています。言語処理ではキャッチコピーや料理レシピの創作など、新しいものを生み出す力を備えました。言語の理解はまだ難しいようですが、脳科学と五感センサーと組み合わせた研究に取り組めば、あっという間に開発が可能でしょう。

「AIに勝るもの」でも述べましたが、人間がAIに勝てるものは「創造力」だけです。新しいものは無限に創造が可能であること、時間軸が関係ないことが理由です。ところがほとんどの人はこの創造力を使っていません。最近は違うようですが、これまでの学校の教育は「記憶」中心でした。極端な言い方をすれば、文字をただ覚えるだけです。「考えるという方法」を教えてきませんでした。この「考えるという方法」は完全に個人任せということです。知識の使い方として「知恵」を教えてきませんでした。

 

では、ビジネスではどうでしょうか。企業は技術開発に惜しみなく努力しています。努力しているのですが、商品力やサービスに差があまり出ません。しかし、長期的な「結果」には大きな違いが出ています。市場シェア20%以上、年商100億円など具体的な数値として現れています。

差を生み出している根元は何だと思いますか。これを突き詰めていくと「スピード」「経験の積み上げ量」に行き着きます。これは「考える」ということを実践した結果です。ベンチャー企業を見ているとそれがよくわかるでしょう。気がついたら知らない企業が市場を作り上げています。メル◯リ、ジモ◯ィ、マク◯ケ、その他にも自分の身の回りを見渡せばたくさんあることに気がつきます。

 

それでは具体的に新しい市場や商品を成功に導いている要因を見てみましょう。影響力と投入量の関係もあわせて確認していきたいと思います。

 

市場創造や新商品を成功に導く要因
  • 投入できる費用
  • 人的な物量
  • 発想力
  • その発想を組み上げる思考のスピード
  • 行動への転換の速さ

(1)投入できる費用

費用が多ければ、成功するまで投資するという力技が使えます。逆に少なすぎると開発の入り口にも立てません。そして資金には限界があります。例えばマッチングシステムであれば、初年度1,000万円、その後1,000万ずつ投入し、投資額がトータル3,000万円まで出せればそれなりのものは仕上がるでしょう。

(2)人的な物量

人的な物量は研究データやプログラミングが必要な場合に力を発揮します。特にAIに必要なデータを万単位で用意する場合は、この物量がものを言うでしょう。費用と同様に投入できる人数にも限界があります。

(3)発想力

創造の前に「発想=ひらめき」という”はじまり”があります。「あっ、これかも」という思いつきです。これがあって初めて形につながります。これは考え続けていれば誰でもできるので限界はありません。ただし、「期限」「競争」というプレッシャーが存在します。

(4)発想を組み上げる思考のスピード

一言で言うと方法論の戦略作りです。思いついたものについて、これが可能かどうか検討することになります。「1つめの方法論を組み上げる、それが失敗したら次の方法論を試してみる、それもだめならその次、、、」このように開発のシナリオを頭の中で「瞬時」に分岐させて、集約させることができるか。将棋のように1,000手先まで読むイメージです。これは人数を投入するというよりも、ひとりの天才に任せてしまったほうが圧倒的に早く良質な結果をもたらします。あえて言うなら、天才を見抜く力が必要です。もし、ITに弱い役員や管理者の意見を集約しようものなら、その結果は散々たるものとなります。

(5)行動への転換の速さ

方法論の戦略(開発シナリオ)は即座に実行しなければいけません。結果が出るまで非常に時間がかかります。多くの失敗を繰り返し、その1手1手から知見を積み重ねていく以外に成功はありません。これからはAIのシミュレーションがそれを助けてくれることでしょう。競合も同様にAIを使うため、やはり素早い行動への転換が必要となります。また、時間の長さが増えるほど費用が膨らみます。視点を変えて人的物量で時間を買うという選択肢もあります。時間を買うという視点ではM&Aという方法もあるでしょう。

 

コロナが収束しかけている頃になって、ようやくテレワークを開始した企業がたくさんあります。費用的な課題の場合は仕方がない面がありますが、行動が遅いだけの理由であれば、この先淘汰されるか、人材の流出しか見込めません。検討するという言葉、大変聞こえがよいものです。しかし、時間は待ってくれません。知識と考えるための概念を持っていれば、答えは瞬間的に決まります。決められないということは、決めるための知識がない、もしくは、考えるための概念を持っていないということです。それに気づいた人は情報を調べて知識を得ようと努力します。ところが、今度は理解するための知識や思考方法を持ち合わせていないという壁に当たります。

 

このように費用と思考がこれらの成功の要因を妨げていることがおわかりいただけたかと思います。この課題を認識しつつ、考え続けることによって新しいカタチを創造し、DX時代を乗り越えていかなければいけません。そのヒントは「シンプルに考え、つなげる」というところにあります。複雑な問題をシンプルに考えることによって、大量の情報を処理し、結論同士をつなげていく。これによって新しい発見がきっとあることでしょう。